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税理士 吉田宏次のブログ
ニュースの裏を読む
“中小企業倒産減少”“銀行の第一四半期利益過去4年ぶり高水準”

事実でしょう。いい加減な報道をすれば首が飛びます。
では、景気は回復したのでしょうか?
確かに、底は打ったでしょう。しかし、まだまだ厳しい状況。二番底を探る可能性も否定できません。
しかし、このような報道がなされると景気が回復したと勘違いしてしまいます。

まずは、上記報道の裏側を読み解くとともに、今後、企業としてどのように対処していけば良いか述べさせていただきます。

中小企業倒産減少の背景は「緊急保証融資」や「金融円滑化法に基づく返済猶予」等、国の肝入りの施策で中小企業が生き延びているというのが現実でしょう。

平成20年11月より施行の緊急保証制度は、平成23年3月末での打ち切り方針が発表されました。緊急保証制度は、保証協会の保証率が100%、つまりどれだけ貸しても銀行の自己資本比率が悪化しない銀行にとってはノーリスクな制度です。
本制度打ち切りにより、保証協会の保証付融資でも銀行が20%のリスク負担を負うことになるので、貸し渋り、貸しはがしが再燃するということも想定されるので要注意です。

一方、返済猶予の方は、亀井案3年のところ、実際は半年~1年になりましたが、最近、期間延長の話も耳に入ってきています。
通常リスケを行うと企業は格付けがランクダウンし、新たな融資を受けることが出来なくなりますが、ガイドラインによれば、“実現性の高い抜本的な経営改善計画を一年以内に提出”すれば下げなくても良いとなっています。
このガイドラインは企業にとって有難い一方、銀行にとっても有難い。
銀行は、ランク下げによる引当金の積増を回避することが出来るからです。
前段の“第一四半期純利益過去4年で最高水準”という報道。
猶予案による隠れ引当金を考慮すると本当に過去4年で最高水準と言えるのでしょうか?

ところで、前述の‘抜本的な経営改善計画’について。
景気が回復したら何とかなるでしょうという能天気な計画では、いくら銀行に不利に働くとはいえ格付けのランクダウンを検討せざるをえないでしょう?
また、計画は計画ですが、理にかなわない非現実的な改善計画も逆効果です。
この経営者で大丈夫か?と不信感を抱かれてしまい今後の融資にも影響しかねません。

売上=単価×点数×回数です。
売上の3割増を考えた場合、単価だけで3割増、点数だけで3割増を考えるのは難しいものです。数字の裏付けが具体的にあれば話は別ですが、そうでもなければ、単なる空想家として銀行からマイナスの評価を受けることになります。

それぞれの項目で10%増を目指し、結果、売上は3割増(1.1×1.1×1.1=1.331)になる計画の方が銀行が喜ぶような現実的な計画となるでしょう。

格付けランクダウン回避のためには、
・少なくとも経営改善計画書を1年以内に提出
・債務超過の会社であれば5年以内に債務超過解消になるような計画
・景気任せや、夢のような非現実的な計画でないこと。

計画書提出以外にも、本人や保証人が遊休不動産を保有しているなどランクダウン阻止につながる要素もあります。融資担当者と密な連携をとり融資に有利な情報を得ることも重要です。また、最終的に計画を作るのは会社自身でありますが、その計画のプロセスで会計事務所がお役に立てる場面があるかと思います。お気軽に相談下さい。